What’s FEAST?

持続可能な食の消費と生産を実現するライフワールドの構築
─食農体系の転換にむけて

アジアの食農システムは現在、無数の持続可能性の課題に直面しています。それらの課題は、環境の健やかさが失われたこと(温室ガス、資源の過剰利用、汚染、土壌の肥沃さ)、各種の多様性が減少したこと(生物、文化、知識)、農産物流通のグローバル化のために小規模農業が衰退し始めていることなどから生じています。一方、消費の側は、グローバルな食品流通への過度の依存によって、消費者団体の活動が制限され、食に関する主権や安全保障を弱めているほか、日常の食がこれまで以上に加工食品が中心となることで公衆衛生上の問題(糖尿病や肥満の増加)が生じています。食料を生産し、分配し、管理するしくみを変化させることが、今まさに求められているのです。
FEASTは、関係者の皆さんと協働して、望ましい未来を描き、食をテーマとする参加型の実験や活動を行なうプロジェクトです。私たちが消費者として、今まで当たり前に思っていたことを問い直し、自分自身の食生活をとりまく環境のなかで、市民として、また生産協賛者として、自らをふたたび位置づける機会を作りだします。そのために、たとえば、生活の質(QOL)の向上につながるような、食と農の非経済的な性質を付加価値として明示し、市場経済の論理に対抗する知識やしくみを共同でデザインすることや、食と農と自然との関係性について広く開かれた議論を社会に起こすことを目標としています。
また、FEASTではアクション・リサーチの手法を用いて、現場レベルでの持続可能な食農システムの転換の実現性や、潜在的な可能性を探っています。研究サイトは、日本だけでなく、タイ、ブータン、中国とその他アジアの主要都市に広がっています。私たちは食品の消費パターンや、食に関係した社会的な実践とその社会文化的な意味、消費者団体を分析し、その物理的な構造だけでなく、心の奥深くに根差している文化的な概念を変えることを目指しています。社会文化的な変化を引き起こすために、「ライフワールド」の概念を用いて、日々の生活のなかで当たり前になっている食品の生産・消費活動の背後にある構造を把握することも、私たちの目標のひとつです。

プロジェクトリーダー Steven McGreevy (総合地球環境学研究所・准教授)