2017.9.5

レポート:ミツバチに関する研究を開始しました! (プロジェクト研究員 マキシミリアン・スピーゲルバーグ)

日本の夏と言えば蝉の鳴き声を思い浮かべるかと思いますが、この夏は少し違いました。私と、同僚のクリストフ・ルプレヒト(プロジェクト研究員)、真貝理香、甘靖超(ともに外来研究員)の夏の音は、ミツバチにも彩られることとなりました。

ミツバチは農業生産における受粉媒介者であり、その重要性が世界中で認識されるようになってきました(IPBES 2017)。そして、アグロエコロジーへの転換や地域の食システムにおいても、ミツバチは一端を担っています。その一方で、日本国内で養蜂業を営む人々や(飼育されている)ミツバチの数は、病害や景観・農業の変化、殺虫剤や農薬の使用、そして野生動物による被害などが原因で減少してきました(参照:みつばち百花; 農林水産省 2016)。日本政府は、1955年に施行された養蜂振興法を、2012年に改正しており、改正版では国や地方自治体を対象とした蜜源植物の増殖に係る取り組みを推進する条項なども含まれています。しかし、例えば京都にとっての地域に根差した養蜂の取り組みはどのようなものなのか、また多様なステークホルダーと協働する超学際的プロセスにおいて成立し得るのかといった課題を残すものとなりました。

そこで、私たちは7月に、京都のミツバチ、養蜂、蜂製品の生産・販売に携わる方々を訪問してきました。訪問先は、京都学園大学の坂本文男教授、養蜂家でありイノベータ―の田中正男氏およびそのご子息の正志氏、北白川にあるはちみつ専門店オ ボン ミエルの大久保ひとみ氏、そして中京区役所の屋上で実施されている京都みつばちガーデン推進プロジェクトで、インタビューを通じて今後検討すべき課題が生まれました。

  • 職業として養蜂業を営む人々はセイヨウミツバチを飼育し、趣味として養蜂を行う人々はニホンミツバチを飼育しているといった区分が見受けられました。自然にそうなったのではなく、社会的構造によるものかもしれませんし、養蜂の目的や動機にも関連性があるのではないかと考えられます。
  • 養蜂は、年々増加している(男性)退職者の間での流行のようにも見受けられました。社会の元凶とされている「高齢化社会」が、養蜂業界にとっては有益なもの(“depopulation dividend”)となり得るのでしょうか 。
  • また、日本の都市部では、新鮮で、地産の、旬な食べ物への需要はあるにも関わらず、都市部に住む人々と食の生産とのつながりは断たれているのが現状です(McGreevy/Akitsu 2016)。このような需要を満たすためには、農業の現場においての適切な受粉が必要となりますが、昆虫類や野生生物は都市部では敬遠されがちといった状況があります(Hosaka et al. 2017)。「我が家の裏ではご免(Not In My Back Yard)」といった考えが主流となるのでしょうか。人々の考え方に変化をもたらすためには何が必要なのでしょうか。

この度開始したミツバチに関する研究では、養蜂家のライフワールドの歴史と現状について探究する他、巣箱、生態学的データ、地元の人々の持つ知識などの参加型GISマッピング、そしてミツバチ、(都市部における)養蜂、関連商品に関する考え方や消費者行動についての調査の実施を目指しています。

(和訳:小林優子)

 

アカリンダニの調査

巣箱の観察

多様なハチミツ

(撮影:マキシミリアン・スピーゲルバーグ、真貝理香、甘靖超)