2017.5.12

レポート:未来の京都の食事情を考える:ビジョニングとバックキャスティング手法の実践 (ユトレヒト大学 アストリッド・マンガス)

FEASTプロジェクトでは、現代の食と農のシステムが直面している非常に複雑な持続可能性にかかる課題を中心に据え、研究を進めています。その課題に取り組むにあたり、未来のあるべき姿を描き、民主主義に基づいた食に関する手法や実践を創出することを目指しています。「ビジョニング」は、そのような未来のあるべき姿を明確に描くことのできる手法の一つです。「バックキャスティング」は、その描かれた未来像を実現するための道筋を、未来から現在へ遡りながら決める手法です。

4月25日および26日に、FEASTプロジェクトでは、京都の食の理想的な未来像を探るため、ユトレヒト大学から訪問中であった研究者と共に、これらの手法を用いたワークショップを3回に渡り開催し、京都府内の食のシステムにつながりのある様々なバックグラウンドを持った方々(流通、消費、非営利団体、政府関係者など)にご参加頂きました。ワークショップでは、関係者に行った事前インタビューに基づいて決められた3つのテーマ(1.都市部と農村部/ urban & rural areas、2.主流のシステムと新しいシステム/ small & large actors、3.社会および技術革新/ social & technological innovation)の中から1つを選び、それに基づいて未来像を描いていきました。ワークショップごとに異なるテーマを選び、結果は、非常に興味深く、多様性に満ちたものとなりました。あるグループは、若い人々が進んで農業に従事するようになり、農業が再び「かっこいい」ものと認識されるような、小規模な生産・消費のネットワークが多数存在する未来が理想であるとしました。他のグループは、より抽象的なアプローチを取り、時間と空間という2つのコンセプトに基づいて未来像を描きました。

それでは、京都の理想的な未来像はどのようにすれば実現できるのでしょうか。ここから、バックキャスティングが始まります。未来像を構成する要素を一つ選択し、そこからステップ・バイ・ステップで、現在に遡っていきます。例えば、理想像が、市場に行くことや家庭で料理をするといった食に関連する活動にもっと時間を費やすことが可能となっている状態とすると、その一歩手前に考えられるのは、新しい労働法になります。その前は、文化的価値の転換、更にその前は、人々が、例えばシエスタのような形で、生活様式を変える、といったことなどが挙げられます。未来像の他の構成要素についても、類似した解決策や戦略が提案されていました。そして、ワークショップの最後には、参加者がすぐに実践可能な具体的な行動計画が提案されました。例えば、名刺に自分の職業だけでなく、スキルや興味のある分野を記載する「第三の名刺」を取り入れることも提案されました。これにより、何か新しいことを始める際に、似たような考えを持った人を簡単に探し出すことができます。今回のワークショップでは、多くの興味深いアイデアが話し合われ、5月11日および28日に開催予定のゲーミング・ワークショップ「未来の京都の食事情」で更に議論される予定です。それでは、次回ワークショップでお会いしましょう!

(和訳:小林優子)

(撮影:大賀百恵)

(撮影:大賀百恵)