2017.6.14

レポート:釧路訪問(プロジェクト上級研究員/WG3チェア 田村典江)

2017年5月31日〜6月2日にかけて、エゾシカの有効利用について知ることを目的として、田村典江が北海道釧路市を訪れました。

FEAST−WG3では持続可能で自然と調和した食の生産をテーマとしています。人と自然 の関係性 において、日本の現代的な問題といえるのが、野生鳥獣と人との対立の増加です。エゾシカを含むシカ、イノシシ、クマ、タヌキ、カラス、イタチ、カワウなど、増えすぎた野生鳥獣は、農林業への被害を引き起こしたり、交通事故の原因となったり、時には人間の死傷事故の原因となったりすることから、「害獣」とされ、毎年、多くの頭数が公共予算により「駆除」されています。

しかし、「害獣」とされる動物の中には古くから「食料」として利用されてきた動物が含まれています。シカやイノシシはその代表格といえます。食の持続可能性や地域における自給を考えるとき、野生動物の食資源としての利用はひとつの鍵となりうるのではないでしょうか。すでに日本各地で、野生動物の食利用を振興し、野生動物管理と地域おこしの両立を模索する活動が多数行われていますが、FEAST−WG3ではこれらの活動について、地域レベルでの食の持続可能性という観点から研究に取り組んでいます。

釧路市はシカ肉利用の先進地です。市内では多くの飲食店でシカ肉料理が提供されているほか、スーパーでの販売や、学校給食への利用など、多様な消費形態が実現されていました。安定した利用を支えるのが、捕獲したシカを一時的に飼う養鹿場(ようろくじょう)や食肉加工施設です。市内にある釧路短期大学は栄養学的な視点からシカ肉の研究や評価を行うほか、栄養士を養成するカリキュラムにおいてシカ肉を用いた実習を行なっています。市内のコミュニティFMである「エフエムくしろ」では、エゾシカをテーマとする番組「エゾシカゼミナール」が、今年で9年目という長寿番組となっています。私も番組にも出演させていただき、今回の調査についてお話ししました!

飲食店、養鹿場、大学、放送局---今回の調査では、釧路市内の多様な関係機関を訪問し、お話を伺うことができましたが、いずれの機関でも、情熱を持って取り組まれている方がいらっしゃることが印象的でした。異なる立場の者が、思いを共有して互いにつながって、それぞれの活動に取り組まれていることが、釧路市の先進性の源となっていると感じました。調査にご協力いただいた皆様、どうもありがとうございました。

釧路短期大学、岡本匡代准教授を訪問して

エゾシカの肉を使ったメニュー

エゾシカ担担麺

エゾシカの養鹿場

エゾシカ

(撮影:田村典江)