2017.8.18

レポート:2017年度地球研オープンハウス「?(はてな)と!(びっくり)をシェアする夏」開催報告 (プロジェクト研究推進員 小林優子、松岡祐子)

FEASTプロジェクトの所属する総合地球環境学研究所は、地域の方々との交流、そして地球研の施設や研究活動について知って頂くため、2011年度より毎夏オープンハウスを開催しています。2017年度は、7月28日開催で、テーマは「?(はてな)と!(びっくり)をシェアする夏」でした。今年は、暑い中850名近い方にお越し頂きました。

オープンハウスでは、参加者の方が地球研の活動をより身近に感じて頂けるよう、所全体をあげて様々なイベントを企画します。FEASTプロジェクトでは、京都の食の未来を探究するカードゲームとビデオゲームをメインとし、「京都の食にとって大事なこと」キーワードへの投票、「あなたにとっての良くないごはんは?」ワードクラウドの4つの企画を行いました。

2種類のゲームは、FEASTが京都市内で実施したゲーミング・ワークショップ「未来の京都の食事情」に向け作成したものです(詳細は、こちらから!)。カードゲームは、小学校4年生以上の方を対象とし、2回実施しました。食のシステムに関係ある職業を一つ選び、その立場に立って「食の未来会議」に参加し、京都の食の理想像に近づくための提案を考えました。みなさん想像力を働かせて、市長、総理大臣、うどん屋さん、ゲームデベロパー、研究者、漁師、スーパーのオーナー、栄養士など多岐に渡る職種を選んでいました。参加者の方がどのような食に関する課題に興味があるかアンケートを取った上で、1回目はどのようにしたら学校給食を改善できるか、2回目は食と農のつながりについて考え、下記のような提案が生まれました。

1.学校給食の改善:

  • 牛乳が苦手な子のため、お茶やジュースなどの選択肢を増やす。
  • 残飯を集めて食に困ってる市内の人に配る。
  • 京野菜など地元の野菜を給食にもっと出す。

2.食と農のつながり:

  • 気象観測地を増やして、農家により正確な気象情報を届けられる様にする。
  • FEASTビデオゲームをより良いものにする。
  • お店で余った食べ物を加工して再利用する。
  • 無駄を減らすための食品加工技術を研究する。
  • この会議に参加している人と協力して食に関するテレビコマーシャルを作って市民の意識を高める。

オランダの大学生がゲーム合宿を通じて開発したビデオゲーム「Lets Kyoto」では、食のシステムの一連の流れをゲームの中のロールプレイングを通じて、経験してもらいました。農家さん、地元の食べ物屋さん、スーパー、ファストフード店、低所得者層の消費者、高所得者層の消費者の6つの役割に分かれて、それぞれの役割の人の選択が、他の役割の人にどのような影響を与えるのかを遊びながら試しました。各役割のターンが終わると、食に関わる今後の政策が3つ提案され、地域の食のあり方をよりよくするためにどの政策に投票するのかを考えました。ビデオゲームは小学生の参加者には、やはり身近なツールなようで、終始にぎやかな歓声があがりました。

「京都の食にとって大事なこと」への投票では、15のキーワード(学校給食、農業の衰退をとめる、伝統的な調理法、食を通じたつながり、子どもの貧困、伝統的な農法、土や水の汚染、オーガニックな食品、自給自足、小規模な農業、食育(フード・リテラシー)、地域での生産、食の安心・安全、都市と農村の交流、気候変動(温暖化))の中から3つに投票してもらいました。300名近くの方に投票頂き、大人、子どもともに食の安心・安全に最多投票数が集まりました。続いて、大人は、地域での生産、土や水の汚染、子どもは、学校給食、伝統的な調理法が多くの票を集めました。詳細は下の投票結果をまとめたグラフでご覧いただけます。

最後にワードクラウドですが、2016年度のオープンハウスでのテーマ、「あなたにとって良いごはんは?」に続き、本年度はその比較で、「あなたにとって良くないごはんは?」としました。「なす」や「えび」などの嫌いな食べものから、「どこから来たかわからないごはん」、「添加物をつかったごはん」、「季節を無視した野菜」や「たくさんの生き物を殺してつくる農作物」など食の安全に関わるもの、そして「ひとりで食べるごはん」や「機械的につくられた心のこもっていないごはん」など食のもつ社会的意義を考えさせられるものなど多岐に渡るワードが挙げられました。

FEASTプロジェクトの目標は、ステークホルダーのみなさんと協働し、食と農の望ましい未来像を描き、アクション・リサーチの手法を用いて、食と農のシステムの転換を促進することにあります。「食」というキーワードは、わたしたちの生活に一体化している一方で、食品流通のグローバル化により「生産者」と「消費者」の距離が広まったこともあり、普段の生活では見えにくい存在となっています。オープンハウスに参加してくださった方々が、何より楽しみながら、身近でそして遠い「食」について考えてもらえる機会になったのではないかと思います。また、FEAST HQメンバーも、これだけたくさんの方がFEASTのイベントに足を止めてくださり、一緒に、そしてさまざまな角度から「食」について考えてくださったことで、この「関心」を「実践」に転換する活動を続ける活力を頂きました!参加頂いた皆さま、ありがとうございました!また、来年お会いしましょう。

カードゲームの説明(撮影:FEAST)

ビデオゲームの説明をする太田研究員(撮影:FEAST)

「京都の食にとって大事なこと」投票(撮影:FEAST)

投票結果

ワードクラウド「あなたにとって良くないごはんは?」(撮影:FEAST)