2017.6.9

レポート:5月着任マックス・スピーゲルバーグ研究員の紹介:学んで、働いて、学んで、働いて…

2013年、私は再び大学での学生生活を始めました。開発協力や、持続可能な開発に向けた教育関連の仕事に5年間携わってからのことでした。大学時代は、ドイツの西の端のコトブスという街にあるブランデンブルク工科大学にて学び、修士論文のためのフィールドワークでは、中東に滞在と、知識欲に導かれて、いつの間にかドイツから遥か東の地に辿り着いていました。さらに、博士課程では、日本の古都京都にまで足をのばすこととなりました。私のこれまでの研究や仕事は、環境管理と平和構築に関連していたこともあり、京都大学持続的農村開発論分野研究室で、水・エネルギー・食料ネクサス(以下、WEFネクサス)をテーマに、研究を進めることにしました。WEFネクサスは、水、エネルギー、食料に関連したそれぞれの活動間のつながりやダイナミクスに注目し、考え方や領域などの様々な垣根を越え、点と点をつなげることで、より広い視野を得ること、そして、開発と転換へのオルタナティブな筋道を見つけることを目指します。それは、これまで私自身が何度も遭遇したテーマであり、FEASTプロジェクトの中心にもなっています。

私が地球研と出会ったのは、博士課程に入って1年目のことでした。地球研・実践プロジェクトの「アジア環太平洋地域の人間環境安全保障―水・エネルギー・食料ネクサス(連環)プロジェクトー」にリサーチ・インターンとして関わり、その際にフィリピンのロスバニョスにあるマキリン山を訪れる機会がありました。その後、再びマキリン山を訪れ、WEFネクサスの景観における観点から、高地に住む農民と(マキリン山を流れる小川の)下流に住む漁師の生活やライフワールドのつながりについて現地調査を行いました。FEASTのWG1の活動にも似ていますが、食べ物の生産と、その生産物の出荷先、また各家庭での消費に焦点を当てて調査を進めました。この現地調査により、高地に住む人々の行動様式が下流部の水質に影響を及ぼすこと、地域の人は皆地元の市場で買い物をしているが、販売先は市場に限定されていないこと、また特定の料理の調理には、現在も炭が使われていることなどが明らかとなりました。この研究を通じて、これまでのWEFネクサスの議論においては、少しの土地しか持たない農家や漁師、林業関係者が担う重要な役割については、充分な研究がなされていないことが分かりました。また、農村がもつ特徴や実際の開発、管理、ガバナンスの現場でWEFネクサスの概念を実行に移すといった視点も足りていないことも判明しました。

再生可能エネルギーからはじまり、水に関する問題へと私の興味のある分野は徐々に変化していきましたが、その過程でも、食に関連するテーマには常に興味を持ち続けていました。今では、最も興味のあるテーマとなり、FEASTメンバーとの関わりの中で興味は増す一方です。無事、博士号取得という一つの章を終え、これからはFEASTプロジェクトのWG1の食料圏についての研究、そしてWG3のアグロエコロジー、食料主権(Food sovereignty)、再農民化(Re-peasantization)に関する概念的研究に関わる予定です。また、個人の研究として、日本国内の都市部とその周辺地域の養蜂のライフワールドについて、ここでも点と点を繋げ、転換の筋道を見つけ出すことで、プロジェクトに貢献していければと考えています。

(和訳・編集:小林優子、松岡祐子)

フィリピンの調査地マップ(マックス・スピーゲルバーグ)

地元の水、エネルギー、食べ物(マックス・スピーゲルバーグ)