査読付き論文:地域振興のためのバイオマス簡易炭化と炭素貯留野菜COOL VEGE TM

Abstract: 現在、日本においては農山村部における産業沈滞による 過疎化、それに伴う農村環境の荒廃が大きな課題となって おり、その地域振興が叫ばれて久しい。一方、都市部にお いては近年中に気候変動緩和策として企業への温室効果ガ ス排出規制がかけられると予想される中、具体的かつ効率 的な温室効果ガス削減の手法は少ないのが現状である。ま た、一般消費者においては環境に対する協力意識は高いも のの具体的手法としての選択肢はあまり多くない。 急激なる気候変動を緩和・適応するための温室効果ガス の削減は喫緊の課題である。 バイオマスを燃焼させずに生物分解を受けにくい形態、 すなわち有機物を無酸素もしくは少酸素雰囲気で熱分解 (炭化)することによって、無機還元炭素(以下 バイオ炭) とし、農地等へ土壌改良資材等として物理的利用を行うこ とは、長期的に地中へ炭素を隔離し、地表上の炭素循環総 量を減少に導くことを可能とする。つまりバイオ炭による 炭素回収・貯留(Carbon Capture & Storage:CCS)(以下 バ イオ炭 CCS)である。これは気候変動緩和策における、二 酸化炭素削減の有効的かつ簡便な手法となりうる。 そこで、バイオ炭 CCS を農山村の農地において実施する ことで炭素隔離を行い、これを通じて農業の再生を含む地 域振興を目指した総合的な社会スキーム概要と課題を提案 する。具体的には、農地においてバイオ炭 CCS を実施しカー ボンクレジットを発生させる。同時に「バイオ炭を使った 炭素貯留で地球を冷やす野菜」としてその農地で生産した 農作物のエコブランド化(クルべジ COOL VEGE TM)を行い、 商品価値を上げて消費者に販売する。その結果として都市 部の会社等によるカーボンクレジットの購入を促進し、地 域の消費者や都市部の消費者による付加価値の高い地域ブ ランド農産物の購買を促進する。 このような手法による温室効果ガス削減を通じた都市部 から農山村部への資金還流の方策は、低炭素社会および 都市部と農山村部の共生による持続可能な社会を目指す上 で、有効な手段となりうると考えられる。本報告はバイオ 炭による温室効果ガスの削減を通じた、都市部から農山村 部への資金還流をもたらす社会的枠組み『カーボンマイナ スプロジェクトスキーム』(Fig.1)の構築を目指した提案 である。
Author: 柴田 晃
Journal: 高温学会誌 Vol. 37 (2011) No. 2 p. 37-42
DOI: http://doi.org/10.7791/jhts.37.37