アメリカ地理学会2019年大会@ワシントンD.C.(プロジェクト上級研究員 クリストフ・ルプレヒト)

FEAST HQ レポート, 学会

アメリカ地理学会(AAG: American Association of Geographers)の年次大会への参加はFEASTの恒例行事となっています。2017年大会では食のシステムに関する5つのセッションを、2018年大会では「都市における食の生産とマッピング」と「インフォーマルな食のシステム」をオーガナイズしました。今年のワシントンD.C.大会にもFEASTチームは参加し、セッションのオーガナイズこそしませんでしたが、世界中から集まる何千人という研究者にお会いし、発表を聞き、こちらからも研究成果を発信することができました。

小林舞研究員は、文化的景観(cultural landscape)のセッションに参加し、「Meat in a post-development world: insights from Bhutan(仮訳:ポスト開発時代における食肉:ブータンの事例)」と題し、ブータンにおける食の選択とアクセスに関するランドスケープの変遷について、特に宗教の教えが人と食肉の生産と消費の関わり方にどのような影響を与えるのかに着目し発表を行いました。私は、都市の社会インフラと公生活に関するセッションにて、日本学術振興会・科研費プロジェクト「Understanding threats to young childrens green space access in unlicensed daycare centers(仮訳:認可外保育施設における幼児の緑地アクセスへの脅威の把握)」の研究成果を発表しました。幼児の緑地へのアクセスには、保育士が基幹的役割を担っている一方で、他の公園利用者とのトラブルや緑地が不十分であるといった課題に直面している現状について報告しました。ダニエル・ナイルズ准教授(地球研准教授/FEASTメンバー)は、「Patterns in place: the aesthetic dimensions of agroecological sustainability(仮訳:場所におけるパターンの探求:アグロエコロジカルな持続可能性の美学的側面について)」と題した発表の中で、さまざまな形の環境知識が、長期的な文化の一貫性に対しどのような影響を与えるのか、そしてアンソロポシーン(人新世)における課題について考える際、どのような意味を持つのかついて検討しました。

FEASTではこれまでの活動を通じて、多くの友人や共同研究者に恵まれてきました。そうした方々と共に会議等に参加できる機会は大切にするようにしており、今回は、京都大学の松岡佐知さんと千葉大学のKim Minseoさんとご一緒させて頂きました。松岡さんは、南インド・ケララ州のアシュラムでの共有空間と社会福祉における人間関係の役割について、Kimさんは住民と緑地とのつながりがインフォーマルな緑地への認識にどのような影響を与えるのか着目した、千葉県市川市を調査地とした博士論文研究(共同監督:クリストフ・ルプレヒト)の成果を報告しました。発表を行う以外には、AAGは古くからの友人に再会できる同窓会のようでもあり、新しい友人をつくるネットワーキングの機会でもあります。FEASTチームは、元・地球研の招へい外国人研究員のStephanie Pincetl先生(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)にも再会することができましたし、7月からフェローシップ外国人研究員として来日するChristine Barnesさん(キングス・カレッジ・ロンドン)とお会いして、研究計画の話を進めることもできました。私は、養蜂について研究されているRebecca Ellisさん(ウェスタンオンタリオ大学)にもお会いできました。

AAGの後には、ワシントンD.C.にある数々の博物館を訪れる機会もありました。国立アメリカ・インディアン博物館(National Museum of the American Indian)やスミソニアン博物館の国立自然史博物館(Smithsonian National Museum of Natural History)では、食や持続可能性についての展示が行われており、多くの学びや発見がありました。今回も、研究発表から博物館まで、研究について新しくを学び、伝えていくには数々の方法があることを改めて考える良い機会となりました!

FEASTチームの発表要旨を以下リンクよりご覧いただけます。
WG3: 小林舞、ダニエル・ナイルズ
WG6: クリストフ・ルプレヒト

(和訳:Yuko K.)

Stephanie Pincetl先生と再会

完全栄養食SOYLENT発見

ワシントンD.C.の桜