第15回日中韓農業史学会国際大会に参加して(プロジェクト研究推進員 岩島史)

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2018年9月12日から14日にかけて、韓国のソウル国立大学で行われた第15回日中韓農業史学会国際大会に参加してきました。この国際大会は東アジアの農業生産や農村社会、農業・農村政策の比較を目的に、1−2年おきに日本、韓国、中国を持ち回りで開催しているものです。今回の大会は、各国の事情により、参加者20名程度の小規模な研究会となりましたが、そのぶん、すべての報告を全員が聞くことができ、密度の濃い議論をすることができました。

私はこれまで、1950−60年代の日本農村を対象に、政策による農村女性のエンパワーメントを通してどのように農村女性というカテゴリーが構築されるのかを研究してきたのですが、この時代の農村女性たちは、食の生産と消費をともに担いながら、FEASTのテーマでもある持続可能な食と農をめざして、日常生活にねざした活動を行っていました。今回の学会では、“Transition of Reproductive Work in Post War Rural Japan: Housewife Ideology and Household Technology”と題し、農家の女性たちが、日々の生産労働(農業)と再生産労働(料理、洗濯、育児など)をどのように行っていて、それは高度経済成長期にどのように変化したのか、日常生活のレベルに焦点をあて、報告を行いました。1960年代の日本では、農村でもよりよい食への関心が高まる一方、男性の兼業化がすすむことで女性は一日中農業労働を担い、農家女性の過労が社会問題にもなっていました。このような、農家女性が経営リソースとしては必要とされる一方、再生産労働が女性のみにしわ寄せされる状況は韓国とも共通していることなどが議論されました。今回分析した事例では、よりよい食と農をめざすことが、家族のなかで一部の人の労働負担を増加させることにもなっており、社会にとっての食と農の持続可能性とあわせて、個人や世帯としての持続可能性という視点も必要なのではないかと考えさせられました。

その他には、世界の有機農業の源流となったドイツとイギリスの運動から探る報告や、日本と韓国の農業生産と国家の関係、戦後ドイツの農村開発と環境問題についての報告など、対象とする時代や地域は様々ですが、研究関心は共有されており、今後の研究への刺激を受けることができました。

発表の様子(撮影:伊藤淳史)

韓国農業史学会会長Park Seok Doo氏による基調講演(撮影:岩島史)

ソウル国立大学の学食にて。ビビンパ。(撮影:岩島史)

同上。トッポギ。(撮影:岩島史)