亀岡市の養蜂場を訪問してきました(地球研フェローシップ外国人研究員/チュラロンコーン大学 シティデー・ポンキワラシン)

FEAST HQ フィールドから, レポート

6月12日に、プロジェクト研究員のマックス・スピーゲルバーグ、地球研外来研究員の真貝理香と共に、京都学園大学の坂本文夫名誉教授(京学大ミツバチプロジェクト・京都ニホンミツバチ研究所)が企画されたアジアのミツバチと養蜂について学ぶミーティングに参加させて頂きました。私たちの他にも、ミツバチや養蜂に携わる方々が参加されており、その中には、認定NPO法人テラ・ルネッサンスの江角泰氏(カンボジアの地雷汚染地域にて、コミュニティ開発プロジェクトの一環として養蜂を実施)、京都ニホンミツバチ週末養蜂の会の志賀生実氏・祐一氏もいらっしゃいました。

今回のミーティングでまず学んだのは、生息環境の異なる複数の種類(亜種)のミツバチがいるということです。アジアに生息するトウヨウミツバチ(Apis cerana)には、4亜種が知られており、特に、基亜種(中国亜種:Apis cerana cerana)とインド亜種(Apis cerana indica)は、アジア全域に広く分布しています。そして、ニホンミツバチ(Apis cerana japonica)もトウヨウミツバチの一亜種です。また、セイヨウミツバチは、ニホンミツバチと比較して、養蜂箱での飼育が容易であり、ハチミツの量も多く取れるため、アメリカより日本に持ち込まれました。

特に興味深かったのは、ミツバチには複数の亜種がいるということに加え、その巣箱の形や蜜の採取・加工方法は、日本国内やカンボジア国内でも異なるという点でした。また、日本国内における専業養蜂家の数は減少傾向にあるものの、多くのミツバチに関する研究が進んでいる点も興味深く思いました。

日本で伝統的に使われてきた巣箱のひとつとして、重箱式巣箱があります。春に、3つの箱から始まり、ミツバチの巣が大きくなるにつれて底辺部分から箱を追加していきます。例えば、坂本先生の巣箱では、現在は5つの箱が重ねられています。ミツバチは、巣箱の下の巣門から中に入り、最上段から巣を形成していきます。上部の箱が巣でいっぱいになると、ミツバチを殺すことなく、ハチミツが採取されます。

上部の巣が採取された後は、新しい箱が最下部に付け加えられ、ミツバチは巣作りを続けます。年間で2箱分、約5キロのハチミツが採取され、残りはミツバチの冬の間の食料として残されます。これは、一度にすべてのハチミツを採取する欧米式の養蜂とは異なり、タイで行われている生態系への影響を配慮した野生のハチミツ採取に通じるものがあると感じました。タイの村の中には、野生のハチの巣を全て採取せずに残すことによって、そこから巣を再建できるように配慮しています。そうすることによって、ミツバチのライフサイクルを阻害することなく、ハチミツの採取が可能となります。

採取した上部の巣箱は、プラスチックの箱に入れ、蜜蓋に切り込みを入れることにより、ハチミツが垂れ始めます。この「垂れ蜜」は、ハチミツの中でも特に品質が高いものとされています。垂れ蜜の採取が終ると、巣をネットにいれ、残りのハチミツを絞り出します。加工過程によって、品質の差別化を図ることは、特殊な実践や付加価値商品といった観点から、非常に興味深いものであると考えます。

今回、日本国内の養蜂に関する取り組みを経験させて頂いたことは、タイにおけるハチミツのマーケットを更に発展させる方法について考える機会にもなりました。例えば、ミツバチに優しい取り組みや、垂れ蜜をつくる過程は、タイのハチミツ製品にも適用可能で、付加価値を与えることができるかもしれません。また、巣箱についての科学的な検証の重要性についても学び、タイでも広く実施していく必要があると感じました。そして、新しく養蜂を行う人々も情報を共有し、消費者とつながりをもつ必要があるでしょう。

※シティデー・ポンキワラシン先生(タイ・チュラロンコーン大学経済学部 准教授)は、地球研にフェローシップ外国人研究員として、2018年4月1日~7月31日まで滞在され、研究課題「Impacts of local and eco-friendly agro-food production on small farmer and consumer’s perception on local agro-food product」に取り組まれています。

(和訳:Yuko K.&真貝理香)

(撮影:シティデー・ポンキワラシン)

(撮影:シティデー・ポンキワラシン)

(撮影:シティデー・ポンキワラシン)

トウヨウミツバチの主な亜種
引用http://cerana.blog.fc2.com/blog-entry-81.html