京都こだわりマルシェ29「こども食堂×オーガニック みんなで創るよいごはん」開催報告(プロジェクト研究推進員 岩島史)

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6月10日に開催された府庁こだわりマルシェにおいて、FEASTプロジェクトは「食と農の未来会議・京都」をつくる会と共催で、「こども食堂×オーガニック みんなで創るよいごはん」を開催しました。

今日の日本では、6人に1人のこどもが貧困に苦しんでいると言われています。また、子どもがひとりで食事をとる「孤食」も増加していると言われています。そのような状況を背景に、市民団体やボランティア団体が、無料または安くごはんを提供し、地域の大人と子どもがともに食事をする機会を確保する「こども食堂」を設立する動きが、日本各地で広まっています。京都でも、今回のイベントにご協力頂いた向日市さくらきっちん嵐山こども食堂をはじめとするこども食堂さんが活動されています。今回、よりよい京都の食の未来をめざすという共通の目標にむかって、こども食堂さんとオーガニック農産物の生産・流通に関わる方々に特別にコラボレーションして頂く運びとなりましたが、日頃はそれぞれの活動を別々に展開しています。こども食堂にオーガニック農産物を提供するというマッチングができれば理想的ではありますが、これまでそのような事例が多かったとは言い難いでしょう。今回のイベントでは、京都府内の2つのこども食堂さんに、地域支援型流通に取り組む京都オーガニックアクション(KOA)のご協力による無農薬野菜、あやべ吉水自然農園さんのご協力による放牧豚肉、蓮ヶ峯農場さんのご協力による鶏肉・卵をつかって、ベジタリアンとノンベジの2種類のお弁当をそれぞれプロデュースして頂きました。また、ISO茶房さんのご協力によりオーガニック中国茶席も開催し、お茶請けには、食と暮らしのアトリエ粒々屋五彩さんのご協力によるローキャラメルと落雁風米粉クッキーをご提供いただきました。

あいにくの雨でしたが、嵐山こども食堂のお弁当50食、向日市さくらきっちんのお弁当50食、それぞれ完売いたしました!オーガニック中国茶席にもたくさんのご参加をいただきありがとうございました。

また、お昼ご飯時に開催したセミナーでは、秋津元輝教授(京都大学農学研究科)によるイベントの趣旨と開催までの経緯説明につづいて、座談会形式で嵐山こども食堂、向日市さくらきっちん、京都オーガニックアクション(KOA)、ISO茶房の各団体に活動を始めたきっかけや、今回のコラボレーション企画についてお話いただきました。1回目の開催時には立ち見もでるほどの盛況となりました。まず、嵐山こども食堂さんは子どもの小学校のPTA役員を務める中で様々な困難を抱える家庭や子どもたちの存在を知ったことがきっかけで、2015年11月、幼稚園のお父さん友達有志で食堂をはじめました。はじめは3年で黒字にならなければやめるつもりだったそうですが、今では調理の協力者、学生ボランティア、食材の寄付など、様々な方の協力を得て毎月1回、食堂を継続されています。ふだんから安心・安全な食べ物にこだわり、きちんと出汁をとることや肉は国産に限ることなどを実践されています。生産者(農家)の方に無農薬、減農薬栽培の米や野菜を頂いたり、畑に収穫させてもらいに行くこともあるそうです。

次に、向日市さくらきっちんさんは、仕事が多忙なシングルマザーや心の病をかかえて食事作りの助けが必要な親子など、さまざまな困難を抱える親と子のために、2017年4月に子育て中の母親たちが活動を開始されました。食堂は平日の夕方に月2回開催し、休日の昼間には月1回のイベントを開催しています。こども食堂の存在が広く知られるようになったことで、「こども食堂」をうたうことが子どもの貧困と直結してイメージされやすくなっている今日、向日市さくらきっちんさんは、例えば、困難な状況にある年配の方や、親の帰りが遅い子どもたちなどだれでも気兼ねなく来ることができるよう、あえて「こども食堂」という名前はつけなかったそうです。「なんでもいいからおなかいっぱいに」ではなく、国産の肉、できるだけ旬の野菜、あえて家庭では作らない手のかかるメニューを提供することを意識しておられます。日頃から無農薬野菜も使いたいと思っているそうですが、価格が高く調達が難しいそうで、安心・安全な食材の調達と限られた資金でのやりくりはどちらのこども食堂さんにとっても課題となっていました。

オーガニック中国茶席をご提供いただいたISO茶房さんは、大学生の頃にオーガニック野菜のおいしさに驚いたことをきっかけにオーガニックに関心を持ち始めたそうです。化学肥料の使用はお茶の味を大きく左右するため、ISO茶房では無農薬、有機栽培にこだわった中国茶を提供されています。いくつかの高級中国茶では、使用できる肥料や農薬が中国の地方標準や国家標準で定められているそうで、味にこだわることが結果的に安心・安全な食にもつながるという点は興味深いと思いました。

京都オーガニックアクションさんは、オーガニックな農産物の生産に携わる人々と、オーガニックな農産物を購入したい人々とのミスマッチを解消するために、2017年にたちあがりました。京都府内の小売店や事業者と生産者が協議会を形成し、2017年度には、小規模農家の流通にかかる負担を軽減するために流通を共同で行うとりくみや、生産者と販売事業者の交流会などを行ってきました。今後、さらに生産と流通、販売、消費が関係を深化させながらつながりを広めていけるように、様々な活動を企画されているそうです。

セミナー終了後もこども食堂と京都オーガニックアクションのみなさまは今後のコラボレーションについて議論が盛り上がっていました!特に規格外のために流通にのらない野菜について、こども食堂とオーガニック生産者との個人的なネットワークがあれば、こども食堂の食材として使えるし、子どもたちにどうやって野菜や米が育つのかを見せるために収穫させてもらいに行くこともできるのではないか、そうすることで食材廃棄も減らせるし、こども食堂の食の質もあげられるのではないか、とお話されていました。京都オーガニックアクションさんのメンバーである369商店さんのご尽力により、規格外の野菜の提供は、すでに始まっています!今後のコラボレーションについては追って開催予定の「こども食堂×オーガニック」振り返り会でもお話いただく予定です。ご協力いただいたこども食堂さん、京都オーガニックアクションさん、ISO茶房さん、あやべ吉水自然農園さん、蓮ヶ峯農場さん、食と暮らしのアトリエ粒々屋五彩さん、ご来場くださったみなさま、本当にありがとうございました!

向日市さくらきっちんさんプロデュース:油淋鶏弁当(撮影:FEAST)

嵐山こども食堂プロデュース:ベジ寿司と生姜焼き弁当(撮影:FEAST)

ISO茶房によるオーガニック中国茶席(撮影:FEAST

セミナー(撮影:FEAST)

スタッフ一同より、足をお運び頂いたみなさま、ありがとうございました!(撮影:FEAST)