シリアスボードゲームジャム2018を開催しました!(プロジェクト研究員 太田和彦)

FEAST HQ WG2, セミナー、ワークショップ, レポート

11月23日と24日の2日間、シリアスボードゲームジャム2018(以下、SBGJ2018)を、総合地球環境学研究所で開催しました。「シリアスゲーム」とは、医療・教育・災害対策・公衆衛生・経営などの、現実の社会課題を扱うゲームのこと。「ゲームジャム」とは、集まった人たちで即席チームを組み、限られた時間の中でゲーム開発を行うイベントのことです。

今回のSBGJ2018は、①地球研のこれまでの研究成果を活用し、②面白いシリアスボードゲームを制作して公開し、③ゲーム開発にかかわる皆さんとお知り合いになること、を目的として企画されました。その結果、

  • のべ12時間+α(徹夜あり)で、
  • 研究所を舞台にして、研究者やプロのゲームクリエイターの方と一緒に、
  • 「良い食とは?」をテーマにした新しいボードゲーム(カードゲーム含む)を1つ作る

という、わりとハードなイベントとなりました。多くのシリアスゲームはデジタルゲームですが、今回ボードゲームにしたのは、開発コストが少なく、意見交換の結果をフィードバックしやすいためです(そのため「こんなに話し続けたゲームジャムは初めて…」という声も多数いただきました)。

今回ご参加いただいたのは、京都精華大学、立命館大学、京都大学をはじめとする学生の皆さん、ボードゲームファンの皆さん、地域おこし協力隊の方や、ゲームを活用したい自営業の方など。そして、地球研の研究員、京都のゲーム会社Skeleton Crew Studioの社員の皆さんをあわせて、計39人。9チームに分かれて、アドバイザーの皆さんと話し合いながら、9つの新しいゲームを作りました。

SBGJ2018チラシ

参加者のみなさま

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シリアスボードゲームジャム2018の2日間の流れ

簡単に、SBGJ2018の流れを追っていきます。会場の写真や様子はFEASTプロジェクトのFacebook記事と、立命館大学の飯田和敏さんのツイキャスを使った実況中継からもご覧いただけます。

= 1日目 =

ミニ講座]名作カードゲーム「街コロ」の開発会社、グランディング京都スタジオの吉田謙太郎さんに、「ゲーム企画の考え方について」と題した講座を行っていただきました。また、良い食をテーマにしたシリアスゲームなので、FEASTプロジェクトのSteven McGreevyさん、OpenTSプロジェクトの近藤康久さんにそれぞれ、食をレンズにして社会を覗くと見えてくるさまざまな出来事と、研究者と一緒だとできる事柄について、お話いただきました。

企画作成]まず、ゲーム開発やアニメーション作成などの現場で活躍されているアドバイザーの皆さまに自己紹介をしていただきました。そして、各チーム内での自己紹介とアイスブレイクの後、企画の作成に移りました。

チームによって動き方はさまざま。サンプルとして置かれた名作ボードゲームを動かしてみたり、さっそく素材集めを始めたり、ホワイトボードを求めてセミナー室へ移ったり、アイディアを付箋や方眼紙に書き留めて整理したり…。

企画発表]「1分間で、どんなゲームか説明してください」という無茶な要求のもとで、9チームの企画発表。「良い食とは?」というテーマを具体化し(育児、田園回帰、昆虫食、生活習慣、こども食堂、各国の食文化…など)、ゲームのルールや勝利条件にどのように落とし込んでいくかがプレゼンされました。

ちなみに今回のゲームジャムのルールは「『時間の経過』をゲームの要素に入れること」。これに苦戦しているチームも見られました。

α版+懇親会]各チームはα版の制作段階に。企画案に基づいて試作を作り、メンバーで試遊して意見交換して修正する…ことをひたすらくり返します。

懇親会では、FEASTプロジェクトお手製のカレーライス(チキン、和風、ビーガンの3種)とサラダ、そして差し入れのお漬物などがテーブルに並びました。ビーガンメニュー初体験の方も何人かいらしたようです。美味しいカレーが菜食主義との出会いとなって何より!

夜は、帰宅組、寝袋組、地球研ハウス組に分かれました(日付が変わっても「カタンの開拓者たち」や「街コロ」で遊んでいた人も)。

= 2日目 =

β版作成]いくつかのチームのα版に、少しシリアス度が足りない(現実の社会的課題との関連が薄い)ということで、オランダ・ユトレヒト大学からいらしているシリアスゲームの研究者、Joost VervoortさんとAstrid Mangnusさんが各チームにアドバイスに回りました。

Joostさんの「政治(ガバナンス)とは、ゲームの難易度やルールが、他のプレイヤーの選択やフィールドとの相互作用によって変わったり、強化されたりすることだ」「それがない食のゲームは地獄のように退屈」というアドバイスや、Skeleton Crew Studioの村上雅彦さんの「他のプレイヤーにいやがらせをできる要素を加えると面白くなる」「邪魔や支援は、他のプレイヤーと関わるチャンスになる」というTipsは、私自身とても勉強になりました。

α版の重大な欠点が見つかって大幅な変更をしたり、混迷していた企画に光が見えたりと、ドラマを含みながら各チームのβ版の制作は進みました。

β版発表]β版発表では、東京などでシリアスゲームジャムを主催されている、「ファミスタの父」こと岸本好弘さんから、作成中のゲームをもっと面白くするための講評をいただきました。岸本さんの多くのアドバイスに共通していたのは「基軸となるイメージを決めてそこから広げること」と「シリアスにするポイントをしぼること」。3分間のプレゼンを終え、各チームは完成版の作成段階に入りました。

完成版作成]ラストスパートの3時間です。各チームとも、カードやゲームシート、ルールの修正が佳境に入りました。この熱気に触発されて、運営サイドでも、京都精華大の辻田幸廣さんと私も食をテーマにしたシリアスボードゲームの企画を作ったり、SBGJ2018で作られた作品の活用方法について議論したりしていました。

完成品発表]9チームの完成品が揃いました。スポットライトのもとで、各チームが制作したボードゲームの遊び方を3分間で説明し、拍手のなかでプレゼンは終了。会場となったダイニングの片付けと試遊、アンケートとインタビュー、そして記念撮影をして、SBGJ2018は無事終了しました。

シリアスボードゲームジャム2018のふりかえり

ブログの冒頭でもふれた、今回のSBGJ2018の3つの目的は(①地球研のこれまでの研究成果の活用、②面白いシリアスボードゲームの制作と公開、③ゲーム開発にかかわる皆さんとお近づきになること)、アンケートやインタビューの結果からひとまず達成できたように思えます。

②については、後日、作成された9つのゲームは地球研のホームページで公開されます。そのほかにも、大学食堂とのコラボや、2019年度の地球研オープンハウスなどでの試遊会など、いろいろな展開を企画中ですのでご期待ください。

今回のイベントにご参加された皆さま、長丁場でしたがお付き合いいただきありがとうございました。最後になりましたが、本企画の実施にあたっては、京都精華大学の辻田幸廣さん、立命館大学の飯田和敏さんと中村彰憲さんと木下皓一朗さん、Skeleton Crew Studioの村上雅彦さんと石川武志さん、サイバーズの中林寿文さん、ユトレヒト大学のJoost VervoortさんとAstrid Mangnusさん、マルタ大学のGordon Callejaさんに大変多くのご助力をいただきました。記して感謝申し上げます。

2019年度も、また新しくシリアスボードゲームジャムをできればと考えています。そのときには、どうぞよろしくお願いいたします。

ミニ講座の様子(撮影:FEAST)

グループに分かれての作業(撮影:FEAST)

JoostさんとAstridさんから各グループにアドバイス(撮影:FEAST)

β版完成!(撮影:FEAST)

集合写真(撮影:FEAST)